今回は、FinTechを語る上で、最も注目されていると言っても過言ではないBlockchaninについて考えたいと思います。
保険業界で働いていましたので、2016年の7月にMcKinseyが発表した保険業界に対するBlockchaninのインパクトと展望が述べられているレポートを参考にしたいと思います。
Blockchain in insurance – opportunity or threat?
レポートの内容に入る前に、そもそもblockchainとは何かということですが、正直に言いまして、他技術と本質的に異なる点(メリット)は何か、どのようなインパクトがビジネスにはあるのか、いまいち理解しきれていません。そのため上手に説明することもできないです。
現時点での理解を自分の言葉で説明すると、
「データ(のまとまり=ブロック)が作成されたタイミングで、そのデータのハッシュ値を計算するとともに、次に作成されるデータ(のまとまり=ブロック)にそのハッシュ値を渡す。前ブロックのハッシュ値を含め、次ブロックのハッシュ値が計算され、また次のブロックに渡される。このようにして作成されるデータは前データのハッシュ値が含まれる。かつ、このデータは参加者すべてが同様のデータを保有する。データを変更すると、ハッシュ値が変わり、「ハッシュ値が変更された=不正なデータ」であることがわかるため、結果、不正が行われない。そのため、従来のように独立した第三者が正当性を担保するにあたって発生していたコストや、制約がない」
といったところでしょうか。
ハッシュ値によってデータの正当性が担保される仕組みについては、下記動画が理解の助けとなりました。
Blockchain 101 - A Visual Demo
VIDEO
今後も引き続きblockchainについて調べ、自分の言葉で簡単に説明できるようになりたいと思います。
Bitcoinを技術的に理解する で説明されている内容を自分自身が理解し、テクノロジーのバックグラウンドを持たない方に対してわかりやすく説明するのが目的です。
さて、McKinseyのレポートで取り上げられている、blockchainの保険業界に対するインパクトですが、いくつか例が挙げられているものの、「自社以外にあるデータをいかにビジネスに活用するか」といったことがポイントのようです。
「自動車保険の事故においては、定められた修理工場で車が修理されたことをデータをもって検知し、保険金支払いの条件する」といったことが例として挙げられていますが、blockchaninでなくても、他の例を含めデータ交換やWeb API連携で可能なことではないかと思いました。
レポート内7ページ目でも、下記のように同様のことは述べられていました。
Conversely, there are conditions under which blockchain is likely not an appropriate solution. If transactions involve only a limited number of parties – or do not require an intermediary – or if a well-established, trusted intermediary already exists, insurance players may be well advised to continue working under their current transaction models.
あらゆるデータが交換されているわけではないのですが、日本の保険業界では共同ゲートウェイや損保VAN、LINCなど、信頼のおけるサードパーティにより標準化された形式/方法でデータ連携がされているので、blockchaninありきで考える必要もないのかと思います。
他の国の保険業界では、どのようにデータ連携がされているかはわかりませんが、レポートにあるように、少なくともemerging countriesではそのような仕組みは存在しないでしょうし、グローバルな保険会社としては、blockchaninが良いオプションの一つになりうるといったところでしょうか。
あと細かい実務上の問題かと思いますが、blockchaninのデータってどのように後から"訂正"が可能なんでしょうかね。"事務ミス"があった場合に、すでにチェーンに組み込まれているデータをどのように訂正し、訂正後のデータが正であることを証明できるのかが気になりました。
日本の金融市場においての展望は日本取引所の下記レポートにまとめられています。
金融市場インフラに対する分散型台帳技術の適用可能性について
とりとめの無いポストになってしまいましたが、今回はとりあえずここまで。