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2017年1月13日金曜日

デロイトトーマツ グループの財務諸表と財務指標

デロイトトーマツ グループの財務諸表と財務指標

Big4 FinTechの取り組みにて、FinTechに関し、他の会計事務所に比べ、トーマツは官民共同で討議を行う場に多く参加していると、言及致しました。

トーマツがどのような会社か気になったので、FinTech普及を担う企業ということで、企業研究を行ってみたいと思います。

監査法人だけでなく、コンサルティング会社もあるので、どれくらいグループ会社があるのか調べたところ、実に17法人とかなりの規模となっています。(グループ法人一覧を参照)。

こちらに直近のBS/PLがありますので、内容を見ていこうとおもうのですが、アカウンティングの勉強の際にお世話になった『会計力と戦略思考力』に倣い、どのようなBS/PLかイメージをしてみます。BS/PLの項目について、他事業会社と監査法人の違いにはついては知識がないため、一般の事業会社の項目名に従います。

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貸借対照表
資産
1. 一番のアセットが人と考えると、資産サイドは多くないはず
2. さらに、事務所以外の固定資産は存在せず、その金額は少なく、流動資産が大半を締めるのではないだろうか
3. 売掛金、監査報酬の支払いサイトがわからないため不明。単純に、月ごとの請求で末締め、翌月末払いとうであれば、年間売上の二ヶ月分が計上されているのだろうか
4. 監査が主サービスである以上、他社の株を多く保有することは考えられず、有価証券の金額もすくないのでは

負債
1. 監査が主サービスであることを考えると、仕入が必要なく買掛金はないだろう。
2. 監査が主サービスであることを考えると、その性質から銀行から借入をして事業拡大することは考えにくく、借入金も少ないはず

純資産
1. 事業開始にあたって多くの資本は必要ないと考えられるので、資本金もすくないはず
2. 監査で多大な利益をあげるとは考えにくく(被監査会社より利益をあげていたら、監査報酬引き下げへつながると予想される)、利益剰余金は少ないだろう。

損益計算書
1. 粗利は極めて高いが、人件費が多くをしめ販管費がかさむことを考えると、営業利益率は決して高くはないのではないか
2. 有価証券の保有がすくなく、借入金もすくないだろう、という予想にたつと、営業外収益/費用の金額はすくなく、売上総利益と純利益の金額がかなり近いものになるのではないだろうか。

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上記が予想するBS/PLに対する仮説です。その仮説を考えたうで、財務指標上でどうなるか、『戦略思考で読み解く 経営分析入門』に記載されているサービス業の各財務指標と比較したいと思います。8年前の数字であり、かつリーマンショックまっただ中の数値なので、指標としてどうなのかという疑問は残りますが、あくまで仮説を検証するためのものなので、問題ないでしょう。

各指標(2008年4月〜2009年3月)のサービス業界平均

サービス業 平均トーマツ(予想)
売上高反管費比率21%人件費が嵩み、50%を超えるのでは?
売上高営業利益率8.4%原価はかからないものの、人件費の高さを考えると、これよりも低いのは、4%ほどか
EBIDAマージン10.8%買収によるのれんや、減価償却費はすくないと考えられるので、売上高営業利益率とほぼ同じくらいか
ROE4.0%レバレッジは決して高くないはず。借入金がないので、これより下がるのではないか。2~3%か
ROA8.6%総資産は一般のサービス業と比べても少ないと考えられるが、利益率も決して高くはないだろうし、同じような数値か

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では、2015年10月から2016年9月期のBS/PLをみて、上記の財務指標の仮説を検証していきたいと思います。

貸借対照表
資産 合計525億7900万
流動資産395億9500万業務未収入金: 145億3800万
固定資産129億8400万

負債及び純資産 合計525億7900万
負債295億7600万業務未収入金: 145億3800万
固定資産230億0300万

損益計算書
業務収入964億7800万監査業務:704億5900万、非監査業務: 260億1900万
営業利益13億1600万

財務指標
指標トーマツ(実績)
売上高反管費比率98%PLで販管費という項目はなく、
業務費用というものが951億6100万。
ほぼ、売上である業務収入と同等ですね。
業務費用=販管費とすると、98%となります
人件費が723億と実に業務収入の75%を占めます。
売上高営業利益率1.3 %予想以上の販管費率の高さで、
営業利益率も予想よりかなり下回りました
EBIDAマージン2.7 %予想外だったのは営業利益と同等以上の、
配当金による営業外収益。
グループ会社からの配当金でしょうか。
減価償却費はなく支払利息の額も少ないので、
為替差益に税引前利益に追加すると、
2.7%と売上高利益率の倍となりました。
ROE8.1 %他サービス業と同じような数値になりました。
ROA8.6%13億1600万/525億7900万で2.5%となりました。
やはり予想以上の営業利益率の低さによるものです

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98%, 売上高に占める業務費用(=販管費)の割合の高さにより、各財務指標に特徴がでているかと思います。

一般的にいっても、営業利益率が1.3%というのは「低く」感じられますが、最初に予想したように、利益率が高ければ被監査企業から監査報酬を引き下げるようにプレッシャーを受けるでしょうし、妥当な数値をいったところになるのでしょうか。

2017年1月12日木曜日

Big4 FinTechの取り組み

四大会計事務所 FinTechの取り組み

四大会計事務所とそのグループ会社が、どのようにFinTechに取り組んでいるか、Webで集められる情報をもとに、まとめてみたいと思います。

PwC (PwCあらた有限責任監査法人・PwC京都監査法人)
PwC Japanグループ内に「フィンテック&イノベーション室」を設置。
本室では、フィンテック企業と金融機関との連携を含めた、戦略策定、ビジネスモデル構築から実装までのコンサルティングサービスを提供します。また、両者の提携・合併をサポートするアドバイザリーサービス、提携・合併する上での課題であるITセキュリティや規制対応、業務プロセスの統合のサポートや各種保証業務を含めたアシュアランスサービス、ならびに税務・法務面での支援をワンストップで提供します。」
ソース:http://www.pwc.com/jp/ja/japan-press-room/press-release/2016/fintech-and-innovation-room160729.html
また、FinTech協会に法人会員として参加されています

Ernst & Young (新日本有限責任監査法人)
PwC同様、FinTech協会に法人会員として参加されています

KPMG (有限責任あずさ監査法人)
PwCと同様にグループ内にフィンテック専用のチームを設置しているとのこと
KPMGジャパン(本部:東京都新宿区、チェアマン:高橋 勉)は、金融とテクノロジーが融合したフィンテックを導入推進する金融機関および日本の金融ビジネスに参入する内外企業に向けた金融アドバイザリーサービスを行う組織として「フィンテック推進支援室」を12月26日付で設置しますので、お知らせします。
ソース:https://home.kpmg.com/jp/ja/home/media/press-releases/2016/12/fintech-support2.html
Deloitte Touche Tohmatsu (有限責任監査法人トーマツ)
経済産業省の「産業・金融・IT融合に関する研究会(FinTech研究会)」の第一回の集まりで執行役員の方がモデレータを務めたり、第二回の集まりでは「FinTechの成立と既存金融機関への影響」というプレゼンテーションを行っています。

また、全銀協が設置した「ブロックチェーン技術の活用可能性と課題に関する検討会」のメンバーにも名を連ねています。さらには、民間の事業会社/銀行以外に、日本銀行もメンバーとして参加している、「FinTech エコシステム研究会」もトムソン・ロイターと共同で立ち上げていますし、他の3社に比べ、官民恊働での討議に多く参画されているようです。

トーマツ パートナーの永田 高士氏がキャリアインキュベーションのサイトで他の監査法人や、戦略系コンサルティングファームとの違いで説明されているように、政策提言や枠組み作りに強みがあるといったところでしょうか。
私たちにはルールを作ったり、政策の基準となる法律・会計の枠組み等の設計等に関われる強みがあるのです。時には政策提言や法律策定、会計制度の構築等の国家レベルのプロジェクトにも関与します。
なお、トーマツではなく、経済産業省がFinTech研究会で作成された資料ですが、産業・金融・IT融合(FinTech)に関する 参考データ集は、各国のおける事例等がまとめられており、2016年時点でのFinTech関係の概況を理解するのに、非常に参考になりました。