■FinTechにおけるシステム開発手法、アジャイルかウォーターフォールか
あらためてエンタープライズアジャイルについて。といっても上記でもとりあげた鈴木氏の引用ですが。
エンタープライズアジャイルとは「エンタープライズという持続的で複雑な変化を嫌う環境において、アジャイルという変化と適応を実現する挑戦」のこと
FinTechでは、金融業の規制と関わるざるをえないですし、そもそも純アジャイルじゃなくてエンテープライズアジャイルになるのかと。現場としては、ウォーターフォール対非ウォーターフォール(スパイラル、アジャイルなど)の間のいいとこどりを目指しながら開発をし、時にバグの多さや後から出てくる要件によっての設計変更等辛い目にあったりするわけですが、今後はエンタープライズアジャイルという概念で捉え直していくのがいいんでしょうね。
他にも↓なのを参考にしたい。
非ウォーターフォール型開発(プロトタイプ型、スパイラル型、アジャイル型)をざっくり理解する
スパイラルモデルとウォーターフォールモデル、そしてアジャイルモデル
■デジタル資本主義
友人にデジタル資本主義を説明するにあたり、消費者余剰と生産者余剰についてうまく説明できなかったため。改めてとりまとめると、価格-コスト=生産者余剰でGDPにカウントされ、支払意思額-価格=消費者余剰で、GDPにカウントされない、ということですね。でもっても支払意思額は人(または、同じ人でも”場合"=時と場所)によって金額がかわる主観的な数字なので、計測がしにくい。
その他、覚えておきたいことをメモ。
交換様式と社会構成体
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不平等 |
平等 |
拘束 |
B 国家 (略奪と再分配:支配と保護) |
A 共同体 (互酬:贈与と返礼) |
自由 |
C 資本 (商品交換:貨幣と商品) |
D X -> デジタルコモンズ
(シェアリング) |
柄谷行人のモデルをもとに、上記のように交換様式と社会構成体をマップした後、デジタル資本主義で生まれるデジタル
・コモンズはC寄りであるものの、CとDの両方に位置付けられるものがある。例えばシェアリングエコノミーのビジネスモデルはC要素が強いもの、D要素が強いものに分けられる。ウーバーはCがつよく、ラズーズはDが強い。
Dに該当する純粋なシェアリングとは、貨幣による対価をもとめない、多対多で起こる「シェアリング」である。(例:wikipedia、シンギバーズ、あと私が思うにエンジニアのコミュニティであるStack overflowも)
・シンギバーズのようにdonationが設定されていると支払意思額が顕在化する
・GDPのピンボケ現象はDの領域の存在感が増していることにより起きている
つぎに川田順造の技術文化モデル。下記のようにA,B,Cと表現されていますが、柄谷行人のモデルとの掛け合わせを行うので、私はそれぞれ順に、モデル1,2,3としたいと思います。
- モデルA:人間代替型:デジタルによる脱人間化(アマゾン自動倉庫)
- モデルB:人間補完型:デジタル技術の人間化(ロボットスーツHAL)
- モデルC:人間強化型:人間のデジタル化(サイボーグ)
上記の交換様式(柄谷モデル)と技術文化モデル()をかけあわせたシナリオが下記のように説明されます。
- シナリオ1(リアリズム): デジタルがCを強化する「純粋デジタル資本主義」C領域における人間代替型デジタルの活用。民主主義の抑圧と大量失業が生み出される
- シナリオ2(リアリズム+ユートピアニズム): デジタルがCとDの両方を強化する「市民資本主義」。人間補完型のデジタル技術。シェアリング・エコノミー専門家のスンドララジャンの「21世紀の経済は「クラウド(民衆)ベース資本主義」にあたるもの。ここでは、お金だけでなく、各人が持つスキル、未稼働資産(自家用車など)も価値を生み出す資本になる。このシナリオでも理論的には、交換によって格差是正に寄与できるとのこと(詳細な説明はありませんでした)
- シナリオ3(ユートピアニズム): デジタルがDを強化する「ポスト資本主義」
ハンナ・アレント『人間の条件』で論じた「労働」「仕事」「活動」についても言及されます。人間の条件読みたくなりました。
自分が何者かをさらす「活動」
人間の想像力をベースに世界を作り出す「仕事」
「労働」はロボットやAIに代替される。