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2017年2月1日水曜日

保険業界とFinTech 2: ダイレクト系損害保険会社の財務諸表

今回はダイレクト系損害保険会社の財務諸表をみていきます。

保険業界とFinTech 1: FinTechとInsureTech
保険業界とFinTech 2: ダイレクト系損害保険会社の財務諸表
保険業界とFinTech 3: AXAグループの取り組み

保険業界とFinTech 1: FinTechとInsureTechで取り上げたように、保険会社のイノベーションの度合いをコンバインドレシオから評価する方法があるあります。そこで損害保険会社の財務諸表をもとに比較を行っていこうと思うのですが、今回はダイレクト系損害保険傾斜に絞りました。

ダイレクト系にしぼった理由は、販売チャネルが通販、Webと限られていることから、比較がしやすいですし、また非ダイレクト系の損害保険会社と比べビジネスにおけるテクノロジーのインパクトが大きいからです。

さて、下記に2000年から2014年の元受正味保険料の推移のグラフが掲載されています。

ダイレクト自動車保険2016売上げランキングの比較
http://www.sonpo-direct.com/uriage.html

老舗のアメリカンホームダイレクトの減収や、ソニー損保のひとり勝ちなどがグラフからもみてわかるかと思います。

さて、コンバインドレシオ等の経営指標については、各社のウェブサイトに掲載されているディスクロージャー誌より集計を行ってみました。
下記、主要ダイレクト系損害保険会社のコンバインドレシオ、正味事業費率の推移です。

2011年から2015年までの数字をみますと、ソニー損保とアクサ損保の2社のみがコンバインドレシオ100%を常に下回っており、また事業費率も常に30%以内に抑えています。先の「ダイレクト自動車保険2016売上げランキングの比較」でも、この2社がランキングの1位、2位を占めており、それを裏付ける数字といえましょう。


コンバインドレシオ 2011 2012 2013 2014 2015
ソニー損保 89.00% 89.20% 84.90% 84.30% 84.80%
AXA損保 92.90% 88.30% 88.70% 85.50% 82.40%
チューリッヒ 113.70% 100.60% 102.60% 96.80% 112.60%
三井ダイレクト 98.80% 99.30% 97.00% 101.70% 100.90%
SBI損保 92.30% 103.20% 98.80% 100.40% 104.70%






正味事業費率 2011 2012 2013 2014 2015
ソニー損保 25.70% 26.00% 25.60% 26.70% 27.10%
AXA損保 24.10% 20.70% 21.90% 21.90% 24.10%
チューリッヒ 44.40% 37.50% 40.80% 40.90% 39.30%
三井ダイレクト 21.40% 20.70% 20.70% 22.80% 21.90%
SBI損保 44.00% 33.40% 26.40% 22.80% 18.60%

AXA損害保険はAXAグループの中の一社です。AXAグループは保険のイノベーションを語る際に、先進的な例として取り上げられることが多いのですが、次回「保険業界とFinTech 3: AXAグループの取り組み」でその詳細をみていこうと思います。

なお、損害保険会社の財務諸表の見方に興味がある方は、日本損害保険協会の下記ページをご覧ください。

損害保険会社のディスクロージャー かんたんガイド