FinTechの本質と全体像を理解する上で、森・濱田松本法律事務所の増島雅和氏がStartup Innovatorsに掲載されているFinTechに関する記事がおすすめです。
概要をまとめると、以下のようになります。
FinTechの正体
FinTechの本質と日本におけるFinTechの挑戦(前編)
FinTechの本質と日本におけるFinTechの挑戦(後編)
まずは、「FinTechの正体」のポイントをまとめてみます。
続いて、「FinTechの本質と日本におけるFinTechの挑戦(前編)」のポイントをまとめみます。
概要をまとめると、以下のようになります。
- FinTechにより、他業界(音楽、出版)でおきていた技術より、ビジネルモデルの変化、プレイヤーの変化が起きる。
- 他業界と異なるのは、金融は産業の基盤であり国力の源泉となるので、国家戦略として規制を考えなくてはいけない。
- 他国も自国の国力を増進させるように規制作りを進めるので、国際金融規制においてルールメイキングにおける競争がおこる。
- 日本国内では、国内のルールメイキングを行うプレイヤーが揃いつつある。
FinTechの正体
FinTechの本質と日本におけるFinTechの挑戦(前編)
FinTechの本質と日本におけるFinTechの挑戦(後編)
まずは、「FinTechの正体」のポイントをまとめてみます。
- 現在おきているFinTechの潮流は、これまで音楽や出版等の他業界に与えたのと同様、該当業界以外からのイノベーターが出現し、既存の金融機関は後塵を拝しつつある。そのイノベーターはこれまでの金融機関とことなる事業モデルやサービスで競争に参入してきている。
- 金融業というのは、リストを移転ないしは仲介するビジネスである。そのため金融商品、サービス設計にあたってリスク情報生産/管理を行うのが、そこに事務コストがかかり、商品/サービスを設計する上での制約となっている。
- 技術の進歩により、リスク情報生産/管理を行うコストは劇的に下がっており、コスト削減だけではなく、金融商品/サービスの設計をも劇的に変えうる。
- ユーザ/消費者が欲しいのは、ローンや保険ではなく、家/車/安全で健康の生活である。ローンや保険等の金融サービスは手段でしかない。
- 日本国としては、他国に先駆ける形で、FinTechに関する規制改革と運用の枠組みを要し、自国の事業モデルの確立が必要。海外の金融業者が国内を席巻するという事態を招いてはならない。
続いて、「FinTechの本質と日本におけるFinTechの挑戦(前編)」のポイントをまとめみます。
- FinTechの歴史としてはリーマンショックが起源。需要サイドとしては、リーマンショックによる金融収縮の結果、金融サービスを受けられなくなった個人、中小企業がalternativeな金融を求めるようになっていった。また供給サイドとしは、解雇された金融機関のIT部門のエンジニア達が新しいサービスを立ち上げはじめた。
- FinTechスタートアップ会社は金融をレイヤー毎(インフラレイヤー、プラットフォームレイヤー、アプリケーションレイヤー)に捉え、それぞれのレイヤーを置き換える技術によってビジネスを進めている。
- 金融は産業の基盤であり国力の源泉であるため、Google, Facebookのように国内マーケットを海外勢に席巻されるわけにはいかない。
- 金融規制を考える際は産業全体や国益を守るために、どのように規制をしていくかという議論が必要。
- FinTechに関し、先進諸国は自国の国力増進のために、国際金融規制において政治力を行使しようとする。国際金融規制のルールメイキングでは、お互いの国力増進のために国同士で競争が起こる。
- 既存の規制の枠組みのなかでTry & Errorが可能になるレギュラトリーサンドボックスという手法が、現在各国当局によって試みられている。
- FInTechの規制や枠組みを定めるために、①政府、②政治家、③金融機関、④ベンダー、⑤スタートアップといったプレイヤーが必要。
- 金融機関では、全銀協、地銀協、証券業協会、生保協、損保協などがカウンターパートになる。